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chin rest.

とても五月とは思えない様な、肌寒い日々です。
オランダに居たころは、六月までダウンのジャケットを着ていたのですが(寒がり&朝夕はすごく冷える!)、まさにその感じを思い出すような冷えこみです。『ダウン着たい!』というほどではないですが、ジャケットが手放せません。このあといきなり梅雨がやってくるのでしょうか。。。

さて、昨日素敵なものを入手いたしました。小さな顎当てです。英語ではchin restといいます。

バロックヴァイオリンを弾く時は、もちろん、顎当ては無しです(肩当てなど楽器を固定するものも)。基本的には『chin off』という奏法で弾きます。このchin offというのは、バロックヴァイオリンを弾くにあたって、とてもとても大事な事です。ヴァイオリンを顎ではさまず、演奏する。顎をoffした状態で演奏。これはモダンヴァイオリンを弾く時と、バロックヴァイオリンを弾く時との大きな違いの中の一つでもあります。挟まないので、左手のテクニックがかなり大きく変わります。ポジションを変わる時に、一気に飛ぶのではなく、親指を少し残したままむにょむにょと動いたり、手のひらや指全体を伸ばしエクステンションを使ったりします。そのために、ポジションチェンジするときに、楽器がズルッっと滑ったり、色々ありますが、でもやはりその当時のテクニックから出てくる音楽には、それ独特の表情が出てくるのです。バロックヴァイオリンはネックの部分が十分に太いので、こういう左手のテクニックや表現が可能になります。
そして何よりも、音が、chin onとchin offではかなり違ってきます。

と、日々chin offでバロックヴァイオリンを弾く私ですが、夏にまたまたショパンを弾く機会があるとの事で、初期ロマン派の音楽を弾くときにバロックヴァイオリンに付けたり、またモダンヴァイオリンにも付けれる様な小さな顎当て(歴史的なもの)を探していたところ、先輩が工房に頼んでくださり、オリジナルのものから型を取って、ローズウッドで作っていただきました!小さくてかわいいです。
バロック時代にもビーバーやタルティーニ、ルクレールなどが、第七ポジション(かなり上の方のポジション)まで使って作曲されたフレーズがしょっちゅう出て来ますが、初期ロマンの曲を弾くときに、その当時に発明された顎当てがあったのならば、試しに使ってみたい!と思ったのでした。。。さてさてどうなる事やら(!)
顎当てを開発したのは、ルイ・シュポア(Louis Spohr, 1784年4月5日 - 1859年10月22日 有名な作曲家またヴァイオリン弾き)と言われています。。たくさんのヴァイオリンコンチェルトを残しています。またハープとヴァイオリンの曲なども。
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めったにこの姿でコンサート登場する事はないと思いますが、素敵な木目、すばらしい手作業の作品だったので、思わずパチり。
by kaoru-415 | 2010-05-14 09:19
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